東北の3月といえば、まだ冬真っ盛り。そんな時期に、「グレートツーリング '92 in 九州 & 沖縄」は決行されることになった。神奈川県に住むウメと合流する為に、こちらははるばるここ青森県八戸市から900km程度走らなくてはならない。東北の冬の寒さはハンパではない。こんな中をバイクに乗ろうなんて、端から見れば正気の沙汰ではないと思われるであろう。実際オレも、(寒い。面倒くさい。行きたくない。大雪でも降りゃあなあ、行かなくてもすむんだがなあ。)と思っていた。出発は明日、3月5日(木)だ。天気予報は、大雪のおそれ。(やったーっ!大雪だーっ!これで長い道中走らなくてもいいな。) |
翌朝、だが、雪は降っていない。仕方なく出発した。早朝、カッパまで着込み防寒をしたのだが、寒さは容赦なく襲ってきた。路面の凍結があれば二輪車なんてものはスッテンコロリン、転倒の危険性は大。幸い路面は乾いていたものの、いかんせん、寒い。道路に設置してある温度計は、当然のごとくマイナスを示している。 |
「さみーっ、さみーよおーっ。」と叫びながらも、盛岡を過ぎ仙台へと向かっていた。すると、ついに白いものが降ってきた!まずい。雪である。これでは、行きたくて行きたくてうずうずしていた(?)沖縄ツーリングが、中止になってしまうではないかっ!? |
期待通りに、いや、予報通りに、雪は本降りになってきた。前が見えなくなるほどで、路面にも積もってきた。エンジンの調子も悪い。止まりそうだ。これでは、実に残念であるが、ツーリングは断念せざるを得まい!仙台でストップ。断腸の思いでウメに連絡。靴は濡れるのでゴム長靴を購入、サウナで宿泊し、翌日八戸を目差したのであった。 |
実は高速代をけちって国道を南下してきたのだが、高速を使っていたら、ひょっとしたら雪が降る前に神奈川に着いていたかもしれない。いや、ウメに電話した時には、神奈川も雪が降っていて大変だと言っていた。これでいいんだ、これで…。そうさ、オレはがんばったんだ。 |
帰り道、天気こそ晴れだったものの、路肩には雪が残っている。路面は雪が溶けて泥の色をした水でビシャビシャ濡れていて、とても恐ろしくてスピードが出せない。特に恐怖だったのがトンネルの中で、車によって運ばれた雪が残り、凍結している。亀のあゆみのようなスピードまで落とさなくては走れない。 |
それでもR4を一所懸命に走っていたら、シルビアであろうか、追い越された。追い越しざま、これでもか、と言うくらいに泥水をかけられ、前が何も見えなくなった。「おわーっ?!ちっくしょー、夏になったら、絶対に見返してやるからなー、見てろっ!」とヘルメットの中で捨てぜりふ。 |
「捨てぜりふ」。立ち去るときに言い放つ言葉。立ち去る、と言うよりも、置いてけぼりを食らう、と言った感じである。これでは捨てぜりふになっていない。負け惜しみ、か。 |
なんとか八戸までたどり着き、下宿のオヤジに挨拶。こうしてオレの沖縄ツーリングは、仙台まで行き、終了した。 |
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