コンパクト化の代償

(「グレートツーリング '03 in 沖縄 & 九州」にて)

(ウメのレポートその5)

 今までのツーリングにおける悩みの種として、荷物の中でフィルムカメラの占める容積の大きさがあった。私のカメラはオートフォーカスの一眼レフだったので、けっこうでかい。そして重い。望遠レンズも所有しているが、更に荷物が増え、重量増加となるので、ほとんどツーリングで持っていったことはない。しかしコンパクトカメラに替えようと思ったことはない。なぜなら、写真の質が悪くなることも去ることながら、コンパクトカメラのファインダー越しに見える景色は、実際にフィルムに焼き付けられた画像と、レイアウトにギャップがあるからである。(このような経験ないだろうか?)
 そこで、デジタルカメラの登場だ。この文明の利器が世に出て数年、既にデジカメの販売台数はフィルムカメラを上回っている。だいぶ安くなった300万画素以上のクラスであれば、少なくともサービス版プリントの大きさで、まず銀塩写真と区別はつかない。カメラについているモニタ画面で見た通りに撮影でき、何よりコンパクトである(一眼レフタイプを除く)。薄いメモリカードにそこそこの画質で1枚/1MBで撮影できる。256MBのカードだと、36枚フィルムで7本分だ。他にもフィルムカメラに比較してのメリットは様々あるが、今更ここでは触れるまい。
 データが消えたらどうするかって?カードは磁気に弱い?フィルムだって完璧ではない。私は「グレートツーリング '02 in 東北」でのフィルムを「カメラのキタ○ラ」で、現像ミスによって1本丸々ダメにされたことがある。男鹿半島エリア全滅!入道崎に沈む夕日を返せ!「グレートツーリング '95 in 中国地方」でヒロのカメラのリヤカバーのふたが開き、フィルムがビヨ〜ンと垂れ下がったこともあったっけ。完璧なものなどこの世にない。私は一眼レフと決別することとした。
 そして購入したのが320万画素のPENTAX Optio 330GS。決め手は電源。充電式電池を使用したカメラは、宿で必ず充電できるとは限らないという経験からパス。330GSはリチウムイオンのCR-V3あるいは単三電池2個を使用できる。もしCR-V3が電池切れになったら、手に入りやすい単三電池を使えばいいというわけだ。
 しかし、このカメラを手に入れてから初めてのツーリング「グレートツーリング '03 in 沖縄 & 九州」において、予想だにしなかった恐ろしい事態に直面したのだ!

4月26日(土)
 ツーリング初日。この時点で、購入以来まだ電池を交換したことはなかった。取説に記載されている理論上の撮影可能枚数(約500枚)からすると、そろそろ交換時期に差し掛かっているものと思われる。実際、数枚撮影したところで電池残量表示がイエローになった。今回のツーリングでは、128MBのカード2枚(約256枚撮影可能)で乗り切るつもりだ。取説には、モニタ使用時でも単三アルカリ電池で約50枚撮影可能と書かれている。そこで、家にたくさん転がっていた未使用のアルカリ電池を8本(4セット)持参していた。足りない分は現地調達すればいい。
 大阪南港のフェリー埠頭の待合室でついに電池切れ。イエローマークになってから数枚しか撮影していない気がする。さっそく持参したアルカリ電池に入れ換えて電源オン。「あれ?」うんともすんとも言わない。電池の入れ方は間違っていない。接触不良とも思えない。他の電池6本全ても試したがダメ。すると工業技術試験場勤務で、電器製品事情に詳しいカンちゃんが「それは電力不足だね。どこで買った電池?」と聞いてきた。この電池はベスト電器で安かったからと大量に購入した、そこのオリジナルアルカリ電池なのであった。カンちゃんによると、その手のは未使用であっても、鮮度が悪くて、時計とかには問題なくても、デジカメのような機器には不向きなのだそうだ。「(カンちゃん)そうは言っても電源すら入らないとはねぇ…。」彼は自分の持ってきた有名メーカー製アルカリ電池を2本くれた。電源オン!動いた。ところがいきなりイエローマーク…。先行きに一抹の不安を感じていた。

4月27日(日)
 今日は終日船旅を楽しんだ。撮影枚数は8枚のみ。電池切れは免れた。

4月28日(月)
 沖縄上陸!まず朝食に立ち寄った那覇のコンビニで、アルカリ電池を4本買った(490円)。できればCR-V3を買いたかったのだが、扱っていなかった。しかし、これできっと今日1日はもつであろう。…が、直後の撮影でカンちゃんからもらった2本が電池切れ。馬鹿な…。まだこの電池を入れてから15枚位しか撮影していないぞ!?
 その後、沖縄本島を北上中、朝コンビニで買った電池も10枚位撮影ごとにことごとくダウン。液晶モニタを切ればもう少し長持ちするであろうが、先述した通り、それではデジカメを購入した意味がなくなる。そればかりは譲れなかった。
 北部では電池を売っている店すらなく、見かねたカンちゃんが、なけなしのアルカリ電池2本をまたくれた。すまない!それも夕方までには使い切った。
 まるで、二連装ショットガンのカートリッジを装てんするがごとく、次々と電池を交換する。おいおい、確かにデジカメが大喰らいなのは分かるが、いくらなんでもこの製品はひど過ぎるのではないだろうか。ハズレか?
 夜、本島をぐるっと廻って那覇に帰って来ると、すぐさま国際通り入り口にあるベスト電器で、CR-V3を購入した(980円)。その際、今まで溜めていた使用済み及び使えなかった電池合計17本を引き取ってもらった。そう、例のベスト電器製オリジナル電池もだ。
 以後は最終日まで、問題なく撮影できた。リチウムイオンってすごいんだぁ〜!

 後日、CR-V3を購入し続けるのもなぁ〜…、というわけで、ホームセンターでニッケル水素の充電式電池を購入した。アルカリ電池よりはかなり強力なハズだ(取説ではモニタ使用で約200枚撮影可能と記載)。しかし実際には、これでも40枚がやっとである。「グレートツーリング外伝 '03 in 日光」では、予備のニッケル水素電池と充電器を持って行った。なんとも釈然としない今日この頃である…。

 最後にこのデジカメ、使い勝手と撮影した画像のクォリティに不満はないことを付け加えておく。


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