90年代中頃に免許制度が変わるまで、大型2輪に乗る為には、今のように教習所で大型2輪免許を取るというわけにはいかなかった。交通安全センターに行って1発実技試験を受けて合格し、“自動2輪は中型に限る”という免許の条件を解除することによって、晴れて大型2輪に乗れたのだ。乗ったこともないバイク、走ったこともないコースでいきなり試験を受けるので、合格率は低かった。私の場合は7回目にしてようやく受かった。それでも、受験料はトータル25,000円程度だったので、安く上がったといえよう。これが1回目の条件解除。私の免許証には他に“眼鏡等”という条件が記載されていた。 バイク乗りにとって、視力が悪いのは頭の痛い問題である。眼鏡の場合、フルフェイスのヘルメットでは、脱着の度に外さなくてはならないし、視界が裸眼に比べていくらか狭いので、瞬間的な判断が必要とされる時に行動が遅れる可能性がある。雨の日なんかは最悪だ。曇る、水滴が付着するという問題によって、危険度が飛躍的に向上するのだ。夜間だと更に光が乱反射するというおまけもつく。また、300km/h付近での風圧によってヘルメットが圧され、眼鏡がずれることもある。(え?そんなにスピード出すなって?ごもっとも。) コンタクトは走行中、風を受けてドライアイになるし、埃が目に入り易い為、あまり実用的ではない。 バイク乗りに限らず、そもそも眼鏡もコンタクトも、日常生活における足枷以外の何ものでもない。20年間近視によって矯正の為のアイテムを装着し続けてきたが、もういいかげんうんざりだ!視力が回復すれば、人生も変わるに違いない。あと10年もすれば、老眼も始まってしまう。急がなくては!ということで、レーシックの手術を受けることにした。 レーシックとは、簡単に言えば、レーザーを使用した矯正手術だ。詳細についてはネットで調べていただきたい。日本で正式に認可されたのが2000年で、しばらく様子を見ていたのだが、安全性に関しては充分な実績があるようだ。難点は保険が使えず、手術費が高額なことだ。しかし、これで保険が使えれば、眼鏡屋は大損害である。(まあ、病気と認定されない限りそれはないだろうが…。) 長野県で手術が受けられる施設は数少なく、私は長野市にある眼科を選択した。 事前の検査は徹底的に行われた。精度の高いハイテク手術だけに、正確なデータが必要なのだ。そして2005年2月に手術を受けたのだが、手術室に入ってから出てくるまで30分くらいだった。痛みもなく、あっけなく終わった。術後、いきなり見えている!さすがに馴染んでくるのに1週間以上掛かるので、焦点が合いにくかったり、光がにじんで見えてたりはするものの、僅か30分前までは、眼鏡無しには生活できない0.06だった視力がウソのようだ。 1週間後、視力は左右共に1.5までに回復していた。医学の進歩に拍手! 視力が回復したところで、やらねばならないことがある。それは、前述の“眼鏡等”という免許証の条件を解除することだ。そうしないと、条件に違反して運転することになってしまうからだ。もちろん危険な方向での条件違反ではない。しかし、運悪くやたらと機嫌の悪い交通機動隊員にキップを切られないとも限らない。やっかいごとはごめんである。 そこで、塩尻市にある交通安全センターに行った。ところが、このようなケースは経験がないらしく、窓口をたらい回しにされ、まあ結果的には無事条件解除できたのだが、思いのほか時間が掛かってしまった。奇特な人と思われたかもしれない。 |
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