2004年のツーリング

グレートツーリング '04 in 茨城 & 千葉
メンバー(マシン) ウメ(GSX1300R)、オユタ(RGV250γ)、カンちゃん(YZF1000R)、ヒデ(CBR900RR)、ヒロ(GPZ900R)
 今回の行き先は、全国でまだ制覇していない都道府県が、北から北海道、茨城、千葉というヒデの為に組まれた。他のメンバーは、「グレートツーリング '95 in 千葉 & 茨城」で征している。ルートは似たようなものなのに、なぜ前回は“千葉 & 茨城”で、今回が“茨城 & 千葉”なのか。別に深い理由はない。
5月1日(土) 天気:晴れ
 7時、R254三才山トンネル料金所出口にある駐車スペースに集合。直前になって参加できなくなったマコちゃんがR1100RSで見送りに来てくれた。行けなくなった理由を聞くと、「(マコちゃん)くっ…。色々あるんだ…。」と唇を噛み締めた。「(マコちゃん)オレの分も楽しんできてくれ。お土産は気にしなくていいから。いや、ほんとに、落花生…ゴホッ!気を使わなくていいから。」マコちゃんへのお土産は有無を言わさず落花生に決定した。

出発前
 7時30分出発。隊列はウメ、ヒデ、カンちゃん、ヒロ、オユタの順。オユタが最後尾なのは、排気量が小さく、非力だからというより、2ストのオイルを誰も浴びたくないという理由が大きい(排気ガスが臭いし)。
 R254→R152→R18→碓氷バイパスと順調に走り、10時頃、松井田妙義インターチェンジから上信越自動車道に乗った。本日の宿泊地は「グレートツーリング '95 in 千葉 & 茨城」の初日と同じ、筑波山神社のすぐ近くに位置する、筑波山荘ユースホステルである。あの時は、地図上の最短コース(高崎からR50でひたすら東進)で、どこにも立ち寄らずに走ったのだが、交通量が多く、宿に着いたのは夕方だった。そこで、今回は遠回りではあるものの、上信越自動車道→関越自動車道→外環自動車道→常磐自動車道でカネとスピードにものを言わせて一気に筑波山を目指す。これで現地付近での滞在時間はかなり稼げる筈だ。がしかし、ヒデの恐ろしいアクシデントによって、関越自動車道の高坂SAで昼食を食べ終わったのは13時過ぎであった!詳しくはエピソード「ねじがねーじ!」を参照していただきたい。
 関越自動車道所沢ICを通過中、シルバーのポルシェ911ターボ(Type996)がランプウェイから入ってくるなり、グングン加速して(ポルシェから見て)遅いクルマをパスしていく。「(ウメ)やりぃ〜!」隼が追撃を開始。200km/h位で飛ばすポルシェの後ろにピタッと喰らい付く。こちらに気付いたのか、更に加速する。「(ウメ)無駄無駄ぁ〜!」どんなに加速しようとも、隼を引き離すことなど不可能。交通量が多いので、トップスピードに持っていくこともできまい。しかし同時に、ポルシェの横を追い越して前に出て、一気にけりをつけるシチュエーションもなさそうだった。120〜250km/h位をいったりきたりしながらのバトルが続く。数分後、大泉の料金所が近付いてきたので、残念ながらお開きとなった。
 大泉ジャンクション→外環自動車道→三郷ジャンクション→常磐自動車道と順調に流れ、14時15分頃に桜土浦ICを降りた。予定よりもだいぶ時間をロスしてしまったが、時間的に、何かひとつは施設を見学できそうだ。桜土浦ICから筑波山までの間には筑波研究学園都市がある。地図を見ると、そのエリア内には、宇宙センターや国立科学博物館なんてのがある。国立科学博物館というからには、最先端の科学技術に触れることができるに違いない。航空関係は明日、成田空港に隣接する航空科学博物館を見学する予定なので、今日は国立科学博物館に決定。
 片側2車線の快適な県道55号線を約10分北上し、国立科学博物館に到着。しかしよく見ると、「国立科学博物館 筑波実験植物園」と書かれている。つまり、国立科学博物館に属する植物の実験施設ということらしい。もう少し詳しく説明すると、「国立科学博物館が植物分類や系統学に関する調査研究を強力に進めると共に、植物の収集・管理・保全(約7千種類)を行ない、広く植物学の普及活動を図る為に設置した実験研究植物園。」なのだ。あまり植物に興味のないGTEC達はしょぼ〜んとした。それでも、せっかく駐車場に駐輪して受付まで歩いてきたのだし、入場料210円なのだから、まあいいかと、とりあえず見学することにした。
 …っとここでオユタに指摘されたヒデが「げっ!」と言った。ヒデのブーツ左側のかかとが剥げそうになっている。靴底が接着剤で貼り合わせてあるタイプのもので、剥げが進行中である。また、右側も1/4程度剥げかけている。「(ヒデ)もっと早く気付けば、カインズで接着剤も一緒に買ったのにぃ〜!」(エピソード 「ねじがねーじ!」を参照のこと。)

ヒデのブーツ
 敷地はけっこう広く、エリアごとに日本各地の様々な植物が植えられていた。しかし、緑に囲まれた田舎育ちの彼らにしてみれば、大して感慨深いものではない。特設会場で催されていたクレマチス展も、咲いているのはごくわずか。みんなとっとと順路を進む。しかし、一転して温室の屋内展示はすばらしかった。見たことのないような植物のオンパレードである。熱帯雨林地方の植物達に囲まれると、今にもそこら辺から恐竜が顔を出しそうだ。

怪しげなポーズで撮影するオユタ
 サバンナの温室では、世界中の様々なサボテン達が出迎えてくれた。通路の両脇にビッシリと植えられている。ウメが奇妙な形のサボテンの前で写真を撮ってもらおうと、ヒデにカメラを手渡した。「(ヒデ)オッケー!」「(ウメ)い、いや、そんなに後ろに下がらなくっていいぞ。オレは上半身だけ写ればいいから…。」「(ヒデ)まあそう言わずに…、うげぇっ!」ヒデは背後にあった巨大なサボテンに腕を接触させてしまった。無数のトゲが長袖のシャツを貫通して突き刺さり、激痛が走る。本日3度目のアクシデントに見舞われた彼であった。

珍しい植物のオンパレード!
 16時50分、国立科学博物館を後にし、筑波山を目指す。「(ヒデ)ホームセンターがあったら寄ってくれ〜。」ブーツのかかとは予断を許さない状況であった。本日の宿である筑波山荘ユースホステルは、筑波神社のすぐ南側に位置する。筑波神社に行くには西側から県道42号線を行くのが一般的だ。南側から北上する道もあるようだが、地図で見る限り極端に狭く、クルマが通れるかも怪しい。95年の11月3日に来た時は、まともに県道42号線で行った。けっこうな登りのワインディングが続くこの道は、下からいきなり渋滞しており、路側帯と側溝の幅が狭いので、すり抜けにかなり苦労し、宿に着いた頃にはヘトヘトだった記憶がある。ゴールデンウィークの今日も、恐らく混んでいることであろう。そこで、今回は先述の南側から北上する“裏道”を使うことにした。まさかバイクが走れないほど狭いということはあるまい(もちろん、歩行者専用だったら諦める)。
 R408からR125に入り(土浦方向)、北条で国道を外れ、裏道の入り口を目指す。残念ながら、国立科学博物館からここまでの道中にホームセンターはなかった「(ヒデ)オレはホームセンターを見つけてから行くわ。宿で落ち合おう!」
 ヒデを除いた4人は、裏道を北上した。視線を上にやると、筑波山神社の鳥居が小さく見える。標高差はかなりあるとみた。センターラインのあった舗装路は、みるみる細くなり、やがて普通乗用車がなんとか通れるくらいの道幅になった。舗装はコンクリートに変わり、停車するのも恐いくらいの急斜面を登っていく。周りは民家がぎっしりと建ち並び、ここは尾道か?と思わず言いたくなる。本当にこの道で大丈夫なのか?もしUターンなんてことになったらどうする?対向車が来たら?などと一同不安に駆られたところで、見覚えのある駐車場が見えた。間違いなく95年に駐輪した場所だ。
 17時40分、宿着。今日の宿泊者はGTEC5人のみ。荷物を搬入し、着替えを終えてくつろいでいると、夕食の準備ができたとのこと。食堂には食べ切れない程の料理が机狭しと並べられていた。「いただきま〜す!」と、ここで何かがおかしいことに気が付く4人。4人…。そう、ヒデがまだ到着していなかった。そういえば、前回ここに泊まった時のツーリングに、彼は参加していなかった。既に外は薄暗い。今頃宿の場所が分からず、筑波山周辺をさ迷っているのであろうか?
 ヒデは他の4人と分かれた後、とりあえずR125を下妻方面へ向かった。途中、片側2車線道路の信号に引っ掛かり、左側車線の先頭で待っていると、後ろからヒデと同じ車線を走って来た花屋のハイエースバンが、ヒデの脇から強引に前に出た。確かにバイクも同じ事を日々やっているわけで(すり抜け)、お互い様といえばそれまでなのだが、決定的に違うところはスタートダッシュの差だ。クルマにとって、とっとと行ってしまうバイクは邪魔ではない筈だ。しかし逆は、よほど気合を入れたスポーツカーでもない限りそうはいかない。「(ヒデ)何を考えているやら…。こいつ、オレ様を原チャリと勘違いしているのか?」信号が青に変わり、スタートダッシュで瞬時に抜き返し、点にしてやった。が…、無情にも次の信号に引っ掛かってしまい、先頭で待っていると、奴に追い付かれてしまった。今度は隣りの車線だ。再度スタートダッシュでまた点にしてやったが、いつまでも一般道を100km/h以上で走り続けるのも危ないからと、70km/hで巡航していると、背後からあのハイエースバンがじわじわと近付いて来た。お互い負けず嫌いという点では似たもの同士なのかもしれない。アクセルを開けようとしたヒデは、ハッと我に返った。そういえばホームセンターを探していたのであった。危く目的を忘れそうになっていた彼は、くやしいが、スピードを落として花屋のクルマに抜かれた。…っとジャスコ下妻店を発見!かれこれ約15kmも走っていたので、ここで接着剤を探すことにした。ホームセンターとまではいかずとも、修理に使える接着剤は置いてあるだろう。
 本当は万能接着剤「superX」がよかったのだが、残念ながら置いておらず、Gクリアーを購入し、宿へ向かった。ウメ達と同じ細い道を、やはりビビリながら登る。一旦宿の前を通り過ぎるも、何とかたどり着き、18時30分、夕食を半分食べ終えた他のメンバーと合流したのであった。
 本日の走行距離:313km(三才山トンネル料金所から)
宿データ 宿名 筑波山荘ユースホステル
場所 茨城県つくば市筑波692
感想 筑波山神社のすぐ近くにあり、筑波山を満喫するには絶好の、民家を改造したタイプのユースホステル。宿泊可能人数は少なく(最大10人程)、アットホームな雰囲気の中でくつろぐことができる…かどうかは、人それぞれであろう。ここは老夫婦で経営しているのだが、実質的に取り仕切っているのは奥さんのほうである。この奥さんの超強烈な個性についていけるかにかかっているのだ。GTEC達は意外と好きだったりする。だからこそ、また泊まりに来たのだから。ただ、いただけないのが浴室内にある、廊下と面した謎の小窓。風呂に入っている時に突然ガバッと開き、ニュッと顔を出した奥さんが、設備の使用方法をこと細かに教えてくれる。そう、その為にわざわざ特注で作った窓らしい…。

浴室にある謎の小窓
あと、人なつっこい室内犬がいるので、顔を近付けてみよう。耳の中に舌を入れてくるぞ。

ヒロと戯れる耳舐め犬
1泊2食付き:4,515円(税込み)
5月2日(日) 天気:晴れ
 朝、出発前に、まだ人の出が少ない筑波山神社を散策した。こういった所を訪れるのは早朝に限る。人がたくさんいては、情緒に欠ける。

筑波山神社
 9時30分、出発。R408を南下し、成田市を目指す。今日のメインは成田空港の南側に位置する航空科学博物館を見学することだ。
 筑波研究学園都市の信号待ちで、先頭のウメは、前に停まっているワンボックス車のリヤゲートに、隼のヘッドライトが反射していないことに気が付いた(隣りのヒデのライトはしっかりと反射していた)。牛久市のガソリンスタンドで給油した時に確認すると、やはり点灯していない。どうやらバルブが切れているようだ。しょせん4輪車用のHIDもどきの高効率ランプでは、振動に弱かったか…。そうは言っても装着したのは2002年の春。長持ちした方だろう。幸い、4輪車用ということで、2本セットだったので、残った1本を予備として常にリヤシートの下にストックしてあった。ここのガソリンスタンドでウメは交換作業を行ない、隼は再び光を取り戻した。
 河内町の物産センターで昼食を終えたのが12時40分。ここまではのどかな田園風景が続く、何の変哲もない田舎の国道であった。GTEC達の地元と大きく違うのは、周囲に高い山が見えないことだ。陽射しが強く、暑い。
 航空科学博物館に行く前に、高名な成田山新勝寺に寄った。各自が感じたこととしては、
 ・人がいっぱい。
 ・池の亀がたくさん甲羅干ししていた。そこに目掛けて賽銭を投げる人がいた。
 ・お土産屋さんがたくさんあった。
 ・狛犬のデザインはなかなかイケてた。
 ・大本堂をはじめ、ほとんどの建造物が近代に建築されたもので、歴史のロマンに欠ける。
 ・みんなとはぐれて心細かった(ヒロ)。
 ・寺なのを忘れてお参りする時に手をたたいて回りから白い目で見られた(ウメ、ヒデ)。
といった程度であり、総じてどうということはない寺だったので、とっとと先に進む。

成田山新勝寺
 R295を東に走ると、成田空港第2旅客ターミナル左折の道路標識が。先頭のウメは、せっかく成田空港に来たのだから、空港ターミナルの前で記念撮影をしようと考え、道路標識に従って左折した。当然他のメンバーも後に続く。ところが目の前にゲートが出現!1台1台クルマの荷物をチェックしている。ただでさえイラクの自衛隊派遣問題でテロを警戒しており、係員もピリピリしているようだ。GTEC達の他にバイクなど1台もいない。一方通行なのでUターンもできない。あからさまに怪しい5人組を発見するなり、武装した警察の特殊部隊達が彼らを取り囲んだ!な〜んてことはなく、係員に間違えて進入してしまったと伝えると、ゲートの中を経由して、もとの道に誘導してくれた。記念撮影なんて、考えが甘かったが、一応ゲート内には進入できたのだから、面白い体験であったとも言えよう。14時30分、航空科学博物館に到着。
 航空科学博物館は、ライト兄弟以前からの航空の歴史をはじめ、飛行機の全てを楽しく分かり易く見学、体験することができる…という施設である。屋内にはボーイング747のエンジンやタイヤ、コクピット、客室、シミュレータ等が、屋外にはYS-11試作1号機や、軽飛行機、ヘリコプター等10機以上の航空機(本物)が展示されている。見ごたえ充分だ。しかも、成田空港の滑走路近くにある為、離着陸する飛行機を間近に見ることができる。
 屋内展示の一角で、ヒデは目を輝かせた。彼の大好きな映画「ライトスタッフ」に出てきたベルX-1のレプリカではないか!?しかもコックピットに座れるじゃん!ベルX-1はアメリカの有人実験機で、人類史上初めて水平飛行で音速を突破したロケット機である。これはぜひ写真を撮らねばなるまい。「(ヒデ)ウメ、写真を撮ってくれ!」とウメにカメラを渡し、X-1に近付くヒデ。しかし、シートには5歳くらいの女の子が座っていた。しかもこのガキときたら、一向に動こうとしない。「(ヒデ)お前なんぞにこの機体の良さが分かるとでもいうのか!?」と思っていると、けっこう楽しそうに操縦ごっこをしている。「(ヒデ)か、かわいいじゃないか…。」ここでどけというのも大人気ない。あるいは、遠巻きに見ているかもしれない父親から「うちの娘に何するんじゃわれ!」と因縁をつけられ、ボコ殴りにされる可能性も否定できない。後でまた来ようと、とりあえず先に進む。すると今度はゼロ戦のコックピット部分が展示してある。やはり座れる!が、ここでも男の子が陣取っている。しかも、準番待ちの列ができている。最後尾は…ヒロだ!「(ヒロ)こりゃいつになるか分からんぞ。諦めようや…。」フライトシミュレータも含め、この手の展示物はやはり人気が高く、残念ながら素通りするしかなかった。いや、ヒデだけはX-1を諦めてはいなかった。しばらくしてから再びX-1を訪れると…長蛇の列になっていた!「(ヒデ)もはやこれまでか…、無念!いつかリベンジしてくれるわ!」混んではいたが、なかなか面白かった。

YS-11試作1号機
 航空科学博物館を出発したのは16時30分だった。本日の宿は茂原市の茂原駅前近くあるビジネスホテルだ。この時点で明るい内にたどり着ける可能性は低くなった。まだ八街(やちまた)市で落花生を買うという任務が残っているのだ。
 R409を南下して、17時に八街駅に到着。ここにバイクを置いて、周辺の落花生屋を物色する。どうぞと店の人が試食用に落花生の袋を開けてくれる。1つ、2つと摘むうちに手が止まらなくなり、出されたものはすぐになくなった。各自お土産にたくさん買い込んで、八街を後にした頃には、辺りは薄暗くなっていた。
 しかしまだ宿まで約30kmある。交通量が多く、平均速度が上がらない。隼のヘッドライトのバルブを交換した為に失われた時間は約30分。それによって生じた遅れを差し引いても、どの道闇の中を走ることにはなったであろう。予備を持っていて本当によかったと思うウメであった。
 19時宿着。夜はホテル近くの「網元」という海鮮居酒屋に繰り出し、近海で捕れる海の幸に舌鼓を打った。
 本日の走行距離:139km
宿データ 宿名 ホテル新川
場所 千葉県茂原市千代田町1-3-12
感想 茂原市駅のすぐ近くに位置するビジネスホテル。新しく、設備も申し分なし。
1泊:シングル5,980円(税込み)
5月3日(月) 天気:曇り
 ツーリング最終日である。東京湾アクアライン、首都高速を経由して中央自動車道に入り、帰路につく予定だ。しかし関東地方の天気予報は雨のち曇り。茂原市は曇り空だったが、朝のニュースのライブカメラによると、都心は雨が降っている。そこで、暫く様子を見ることにした。
 ウメだけは今日、月島(中央区)の姉宅に宿泊するので、その姉に度々電話を入れて天候状況をリアルタイムにチェックする。9時、都心の雨は上がり、路面もドライになったという情報を受け、一同は出発した。
 R409を西に進む。木更津が近付いてくるに従って、交通量が増えてきた。それでも渋滞がないまま10時30分頃に木更津金田ICから東京湾アクアラインに入った。
 今日のメインイベントは、東京湾アクアラインを走り、人工島の海ほたる(パーキングエリア併設)を見ることだ。海ほたるまでの海上橋部分は約4.4kmあり、航路をまたぐ関係から、海面上約40mの高さまで盛り上がる形状となっているので、眺めはなかなかのものであった。と、ついついよそ見をしてしまう。危ない危ない…。
 アクアトンネルと橋梁部の接点となっているのが、木更津人工島「海ほたる」である。全長約700mの人工島の上に、5階建ての休憩施設が建っている。この休憩施設は、1階から3階までが駐車場となっており、4階と5階に休憩施設としてレストランやショップがたくさん入っている。さながら大型観光フェリーといった感じである。駐輪するのに苦労はしなかったものの(4輪はほぼ満車)、さすがにゴールデンウィークだけあって、海ほたるPAは観光客でごったがえしていた。GTECメンバー達は、ここで各自お土産を購入したり、アクアラインに関する資料館を見学したりした。

海ほたる
 11時50分、東京でお別れのウメは、ここで見送りを受けながら一足先に出発した。「(ウメ)今日の昼飯は月島でもんじゃ焼きだぜぃ!アディオス!」
 他のメンバーは、今後のコースについて打ち合わせを行なった。最も航続距離の短いオユタが、次の給油ポイントを気にしていた。首都高にはガソリンスタンドがない為、最初の給油可能な場所は中央自動車道の談合坂SAだが、ここから約80kmある。前回の給油からここまで約160km走行している。そのほとんどが一般道だったので、けっこう厳しいかもしれない。
 とりあえず、中央自動車道の石川PAまで行ってみて、ガソリン残量の状況で、そのまま談合坂SAまで行くか、八王子IC辺りで一旦降りるか決定することとした。
 12時過ぎに出発。今にも降り出しそうな空模様だ。アクアライン→東京湾岸道路→レインボーブリッジ→高速都心環状線→4号新宿線のルートで石川PAを目指す。
 海ほたるから川崎までは、約10kmの海底トンネル部分になる。世界で最も長い水底トンネルは、本州と北海道を結ぶ青函トンネルで、長さは約54kmとアクアトンネルの5倍以上の長さがある。しかし、青函トンネルは鉄道トンネルであり、自動車が通行できる水底トンネルと限定すれば、アクアトンネルが最長となる。とは言ったものの、走ってみればただの長いトンネルであり、海底という実感は全くない。
 その先は比較的スムーズに流れており、まるでレースゲームのように変化に富んだワインディング(?)を楽しんだ。そうこうしているうちに石川PAに到着。オユタのγ号のタンクを覗き、ガソリン残量を確認すると、あと3リットルはあるように見える。これなら談合坂SAまでもちそうだ。また、昼食タイムではあるが、PAの食堂はゲロ混みなので、時間をズラす為に談合坂SAで昼飯&給油ということに決定。

タンクを覗きこむオユタ
 13時40分、談合坂SA到着。ガソリンスタンドはさほど混雑しておらず、10分程度で給油完了。さあ、昼食だと思いきや、レストランは長蛇の列。このSAは軽食コーナーが充実していたので、各自が好みのブースで食料を調達し、屋外のテーブルで遅い昼食にありついた。
 14時40分に談合坂SAを後にし、解散予定の長野自動車道みどり湖PAを目指す。快調に飛ばすものの、ゴールが近付くにつれ、涼しさを通り越して寒くなってきた。幸い雨には降られなかった。
 16時、みどり湖PAに到着。早速各自ホット缶コーヒーを購入して暖を取る。5月に入ってもホットがあるなんて、さすがは長野県。休憩後、ここで解散した。お疲れ!
 最終日に天気が崩れたが、ついにカッパを着ることなく、無事にツーリングは終了したのであった。
 本日の走行距離:289km(長野自動車道みどり湖PAまで)

レポート by ウメ


グレートツーリング外伝 '04 in 福井
メンバー(マシン) ウメ(GSX1300R)、オユタ(RGV250γ)、カンちゃん(YZF1000R)、ヒデ(CBR900RR)、ヒロ(GPZ900R)
10月2日(土) 天気:曇り時々雨
 昨日は全国的に台風一過の晴天に恵まれていたのに、早くも本州の天気は崩れている。北陸地方の天気予報は雨…。カッパを着るのは必至である。第二候補の来週にすればよかったか?しかし、金曜日の朝、つまり決行日の24時間以内の天気予報では、土日とも晴れマークが出ていたのだ。全くあてにならない天気予報なので、致し方なかったといえよう。
 6時30分、松本市新村のR158沿いにあるローソンに集合。太陽が出てはいるが、西の方角を見ると、北アルプスの山々はどんよりとした雲に覆われている…。
 ウメは隼のヘッドランプにAbsolute製のHID(隼専用設計)を装着しての参加だ。4輪ではもはや珍しくも何ともないHIDであるが、今のところ2輪の標準装着車はHONDAのゴールドウィングくらいなものだ。もっと普及しないのは、2輪用はバラストの小型化が必須で、4輪用に比較して自由度がなく、どうしてもコストアップが避けられないかららしい。特にネイキッドでは防水対策も難しい。「(ウメ)今までの高効率バルブなんて比較にならないくらい明るいぜ!」

HID装着!
 6時50分出発。R158を西に進む。隊列はウメ、ヒデ、カンちゃん、ヒロ、オユタの順。上高地の紅葉は始まっており、朝早いとはいえ、観光客のクルマでけっこう道が混むと予想していたが、そんなことはなかった。それに、遅いクルマは追い越し車線でパスし、工事による片側通行の信号待ちでは一気に前に出たりして、快適に飛ばすことができた。安房トンネルを抜けてトイレ休憩。ここまで約40分。順調だ。
 ここからは、ひたすらR158を走る。高山を経由し、岐阜県清見村にある道の駅ななもり清見までも、快調であった。結論から言うと、今日、宿まで走った道路は全て交通量が少なく、適度に追い越し車線があるので、実にストレスなく走れた。
 道の駅ななもり清見で休憩していると、太陽が顔を出した。気温は上昇し、早朝の防寒対策のままでは既に暑い。1枚脱いで薄着になりながら、各自「こりゃ今日は天気もつんじゃないの?」と期待した。

青空が…
 飛騨清見ICで東海北陸自動車道に入り、一旦南下する。すると、期待虚しくみるみる天候は悪化し、ついに雨が降り出した。ひるがの高原SAで仕方なくカッパを装着。
 白鳥ICで高速を降り、再びR158で福井市を目指す。山間部で激しさを増した雨は、和泉村(もうここは福井県だ)の道の駅九頭竜(くずりゅう)で休憩時に一旦止んだ。和泉村は恐竜の化石が採れることで有名である。リアルなティラノサウルスの親と、顔がなぜかコミカルな子供恐竜の実物大ロボットが怪しくうごめいていた。

ティラノサウルスの前で
 ここでカンちゃんとヒロは賭けに出た。もう雨は降らないと判断し、カッパを脱いだのだ。バイク用のカッパは、風圧でも破れないよう、丈夫にできている。よって、それなりに重い。長時間着ていると、肩がこり、疲れは倍増する。だが、運命の女神は彼らに冷たかった。出発直後にまた雨。先頭のウメはすぐさま路肩に寄って停車したが、カッパを再び着込む間にも、無情に雨は降り注ぎ、衣服を濡らした。
 山間部を抜けると次第に雨は小降りになり、福井市近くになって完全に止んだ。
 13時、福井市街の順化1丁目にある錦梅堂(きんばいどう)に到着。錦梅堂は1847年に創業し、福井で初めて羽二重餅(はぶたいもち)を考案した老舗である。この程よい甘み、程よい大きさ、とろけるような食感の羽二重餅をお土産として購入するだけでこの店に寄ったのではない。ここは元ヒデの会社の同期であるベニーの勤務先であり、また、彼が経営に関わっている店なのだ。一族で代々経営している関係で、彼は一応“専務”という肩書きがある。一度は家を出て、長野県でヒデの会社に就職して働いていたものの、已むを得ない事情で帰って来たのだ。
 一行はベニーと対面し、まずは昼食ということになった。福井といえばソースカツ丼。元祖ソースカツ丼で有名なヨーロッパ軒に6人は向かった。といっても、ヨーロッパ軒はたったのビル3つを挟んだ所にあるので、すぐである。実は計画段階で寄りたい所として、ヨーロッパ軒と錦梅堂は別々に提案されたのだが、ほとんど隣だったのは全くの偶然である。
 ヨーロッパ軒のソースカツ丼は、創業者がドイツで修行中に出会ったウスターソースをベースに考案したものだ。上等の薄切りロース肉を目の細かなパン粉で揚げ、秘伝のタレをまぶしたもので、ご飯と実によく合う。

ソースカツ丼
 昼食後、錦梅堂で各自羽二重餅を購入し、ヒデの家にまとめて宅急便で発送した。そして、しばしベニーと談笑し、別れを惜しみつつも、福井市を後にした。

錦梅堂
 空はいつ雨が降ってもおかしくない。というわけで、越前町南部にある本日の宿、国民宿舎かれい崎荘に直行することにした。県道6号、3号線を南西に走り、給油の為に朝日町のガソリンスタンドに立ち寄った時の空模様は、“雨の降りそうにない曇り空”といった感じになっていた。それならばと、越前岬経由で宿に向かうことになった。
 R417に入って西進し、突き当たりのR305を右折、海岸線を北上する。宿は正反対の方角だが、越前岬までは大した距離ではない。とりあえず呼鳥門(こちょうもん)を目指す。
 「グレートツーリング '91 in 北陸 & 古都」で呼鳥門には寄ったことがある。五木ひろしの歌碑が刻まれている巨大な越前有情の碑の前で、コブシを入れたポーズで記念撮影をしたものだ。13年ぶりに歌碑の前でまた写真を撮ろうというわけだ。当時、歌碑は道路の東側にあったので、先頭のウメは右側ばかりを注視して走っていた。ところが、いつの間にやら呼鳥門を通り過ぎてしまったようである。一同反転して南下すると、トンネルの北側出口の西側(海側)に歌碑と呼鳥門を発見!しかも、北上中では、後ろを振り返らないと見えない位置だ。
 越前海岸は強風と荒波が岸壁を浸食してできた海食洞が多い。中でもトンネル状になった呼鳥門はみごとである。充分クルマが往来できる巨大な穴だ。実際、91年に来た時には、この穴の中を国道が通っていた。しかし数年前、呼鳥門の東側に新トンネルが開通し、旧道は公園として整備されたのであった。その際、歌碑は国道の西側に位置することになったのである。ウメの記憶が間違っていたわけではなかった。何はともあれ、越前有情の歌が流れる中(碑の前にあるスイッチを押すと、五木ひろしの越前有情の歌がスピーカーから流れるのだ)で記念撮影!

呼鳥門の真実
 呼鳥門を後にし、海岸線を南下すること十数分、17時に国民宿舎かれい崎荘に到着した。
 夕食後、5人は部屋で酒を飲みながら、明日のルートを検討した。北陸エリアの予報は雨。長野方面も雨。紀伊半島は晴れ時々曇りである。この通りの天気であれば、南寄りのコースを取った方が雨に降られる可能性は低い。よって、北陸道を南下し、名神高速→中央道→長野道で帰る予定とした。もしも敦賀の時点で雨が降っていなかったら、三方五湖を見ていこう。
 闇夜の海に煌煌と光るイカ釣り漁船の光がきれいであった。
 本日の走行距離:305km(新村のローソンから)
宿データ 宿名 国民宿舎かれい崎荘
場所 福井県丹生郡越前町米ノ66-93
感想 干飯崎の岩礁の上に建っている。全室窓が海に面しており、日本海の眺望が広がる。GTEC達が泊まったのは「特別室」だ。(別に意図的に頼んだのではなく、たまたまその部屋になっただけ。割増料金もなし。) 20畳の広い部屋に5人だけなので、ゆったりできた。しかも、展望バルコニー(3階)よりも更に高い最上階(4階)にあり、眺めに関してこれ以上の部屋はあるまい。設備は申し分なし。湯量豊富な天然温泉もグッド。
【泉質】ナトリウム炭酸水素塩−硫酸塩泉
【効用】慢性皮膚病、慢性婦人病、リュウマチ、神経痛など
夕食は標準食のワンランク上である「漁火コース」にした。海の幸づくしなので期待していたのが、ただ量が多いだけで大してうまくはなかった。それだけが残念だ。
1泊2食付き:10,913円(インターネットで予約の為、生ビール1杯サービス)

国民宿舎かれい崎荘
10月3日(日) 天気:曇りのち雨
 朝の天気予報は、昨晩と一変していた。紀伊半島は雨(テレビ中継では既にザーザー降っている)。北陸地方は曇り所により一時雨。緊急会議の結果、日本海沿いを北上し、新潟県糸魚川経由で帰ることに決定。雨が降っていなかったら東尋坊に寄ることにした。
 曇り空の中、8時50分出発。R305を北上する。昨日の越前岬を通り越し、やがて東尋坊に到着。ここも13年ぶりだ。
 海食によって荒々しく削られた岩肌と、足がすくむほどの絶壁。ここ東尋坊でみられる五角形、六角形の柱状の岩輝石安山岩は地質学的にも大変貴重で、日本では他に類がなく、国の天然記念物に指定されているのだ。また、世界的に見ても韓国の金剛山、ノルウェー西海岸の3ケ所だけである。そしてここは自殺の名所!間違いなく落ちたら死ぬ岩の上を、まるで取り憑かれたように進むヒデとオユタ。負けてたまるかと続くウメ、カンちゃん、ヒロ達。13年前と同じで光景ある…。どうせそのうち雨に遭うのだからと、ここの売店でサザエの壺焼きを食べたりして小休止した。

お〜い、早く来いよ〜!
 東尋坊を後にすると、R305を北上し、加賀ICから北陸自動車道に乗った。12時30分に尼御前SAで昼食タイム。

日本海の荒波を背景に

ん?何か変?
 出発間近にポツリと何粒か空から落ちてきたので、万全を期して各自カッパを装着。幸い、次の休憩ポイントである有磯海SAまでは、結局降られなかった。
 巡航速度は100km/h。先頭のウメは、遅いクルマを追い越す時に、ストレス発散とばかりに180〜200km/hくらいまで一気に加速する。おかげでタンクバッグのレインカバーがボロボロになった。(さすが、バイク用のカッパは丈夫で、どこも破れなかった。)

ボロボロのレインカバー
 そして糸魚川ICを目前にしたところで、ついに雨がザーザーと降り出した。糸魚川ICで高速を降り、あとはR148→R147→高瀬川沿いのオリンピック道路を淡々と走った。雨の中のツーリングは、ひたすら耐えるしかない…。ヒデの家で、昨日発送したお土産を各自受け取り、18時に解散。
 本日の走行距離:364km(ヒデの家まで)

 ちなみに1週間後の9、10日は台風が関東地方に上陸し、中部、北陸も雨風が凄まじく、これに比べれば、まだ2、3日の方がよっぽどマシなのがせめてもの救いなのであった。

レポート by ウメ


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