1994年のツーリング

グレートツーリング '94 in 紀伊半島
メンバー(マシン) ウメ(GSX-R400R-SP)、オユタ(CBR400RR)、カンちゃん(DT200R)、マコちゃん(ZZ-R400)
4月29日(金) 天気:晴れ
 ウメ、オユタ、マコちゃんは、南安曇郡梓川村にある書店の駐車場で待ち合わせることになっていた。マコちゃんはニューマシン、ZZ-R400で書店に向かう途中、交差点で信号待ちをしていると、目の前を通過するウメのGSXを見た。(お、時間どおりやね。)と思って後を追い、ふとミラーを見ると、そこにはオユタのCBRがいた。待ち合わせるまでもなく集合してしまった。
 8時、長野自動車道みどり湖PAでカンちゃんと合流。伊勢を目指して出発!中央自動車道から東名高速に入り、春日井ICからR19を南下。勝川ICから東名阪自動車道にアクセスした。
 その後、伊勢自動車道を南下。松阪市付近で昼時となった。松阪といったら松阪牛。食べましょう。久居ICで高速を降り、看板につられて適当に入ったのは、創業明治35年という格式高そうな料亭「牛銀」であった。やばい、高過ぎるんでないの?メニューを見ると、スペシャルステーキAが15,000円、Bが12,000円…。やっぱり高い。目を下にやると、ステーキ定食が3,000円、焼肉定食2,600円とある。そうそう、これくらいでなくちゃね。一応全員松阪牛にはありつけた。
 松阪を後にし、R23を更に南下すると、程なく伊勢市に入った。本日のメイン目的地である伊勢神宮に向かう。
 伊勢神宮は外宮、内宮に分かれている。まずは外宮だ。彩色なしの檜の素木でできた神明造りの正宮正殿はみごとだった。お次はバイクで2〜3kmほど移動して内宮を見た。こちらも外宮と同じような雰囲気であった。こういった所はクルマで行くと駐車場に困るものだが、さすがにバイクは置き場所に苦労はしなかった。(ちゃんとお宮の人に断って駐輪した。)
 宿泊地の磯部町は、伊勢道路を南下するとすぐであった。
宿データ 宿名 伊勢志摩ユースホステル
場所 三重県志摩郡磯部町穴川1219-82
感想 志摩スペイン村や海を見渡せる高台にある、快適なユースホステル。ここをベースにすれば、広いエリアの観光基地として利用できる。
4月30日(土) 天気:晴れ
 朝、開園前から志摩スペイン村のパルケエスパーニャのゲート前に並んだ。今日の宿泊地は紀伊長島なので、ここからは大して時間が掛からない。じっくり遊べるぞ!さすがに今年4月にオープンしたばかりで、しかもゴールデンウィークだけあって、ライバルは相当に多そうだ。
 9時30分の開園と同時に、まずは「アドベンチャーラグーン」に走った。東京ディズニーランドでいえば、「カリブの海賊」といった感じのアトラクションだった。最初の数分は、砲弾飛び交う屋外を航行する分、こっちの方がうわ手かもしれない。まだそんなに混んではいない。お次は「幻のイベリヤ超特急」だ。これまた東京ディズニーランドでいえば、「スペースマウンテン」というかそのまんまであった。そろそろ混んできた。「アルカサルの戦い」では少し並んだ。ここでは光線銃で城にはびこる魔物どもを撃ちまくる、またまた東京ディズニーランドでいえば、“「ホーンテッドマンション」で乗り物から「シューティングギャラリー」する”といった感じのアトラクションだ。かつてはサバイバルゲームで鍛えたGTECのメンバー達だったが、勝手が違ったようで、成績はよろしくなかった。いいかげん混んできた。酔っ払ったロバが、狂ったように大暴れする「ドンキーズ・シェリー」ではかなり並んだ。もう待つのは懲り懲り。あとは適当に待ち時間のかからない、見学タイプの施設を廻った。所詮は地方のちゃちな遊園地かと思っていたが、ところがどっこい、クォリティーは意外と高くて楽しめた。
 スペイン村を後にして、R260を一路、紀伊長島目指して走る。この道は、紀伊半島特有のリアス式海岸に沿っているので、かなりハードなワインディングである。山の中を走っていたと思ったら、突然海が見え、そしてまた山の中…、といった感じが延々と続く。道が細く、センターラインもない。見通しも悪い。いい運動になった。
 紀伊長島にある本日の宿、「民宿はま風」に到着。夜、おいしい魚に舌鼓を打ちながらのビールは格別であった。ふと隣の御一行の料理を見ると、なんともおいしそうな刺身の船盛りである。聞けば、予め予約しておく特別料理なのだそうだ。そんなに高くなるわけではない。惜しいことをした。次からは、夕食に特別料理があるかどうかの確認は必須だな。
宿データ 宿名 民宿はま風
場所 三重県北牟婁郡紀伊長島町古里
感想 かつてデーモン木暮閣下も泊まったことがある、こじんまりとした民宿。魚料理がおいしい。
5月1日(日) 天気:晴れ
 今日はひたすら潮岬まで、紀伊半島を海沿いに走る。R311を南下して、まずは鬼ヶ城を見た。
 鬼ヶ城は波によって浸食された荒々しい岩場で、見ごたえがあった。みんなで記念写真を撮ろうかと思ったら、うまいことに団体撮影用の椅子と日付けプレート、そして鬼の人形があって、業者のカメラマンは席を外していた。すかさずパチリ。その直後、慌てて走ってきた写真屋のおやじが人形に布を被せ、プレートを裏返していた。ここの売店でウメはソフトクリームを買った。売店のおばさんは、特別にと言って山盛りにしてくれた。ありがたい。ところが、代金を支払ってくるりと向きを変えた瞬間、コーンから上の部分がボトッと地面に落ちてしまったのである!ああ無情!ウメはおばさんに「すいません、掃除道具貸してもらえませんか?」と言ったところ、なんとクリームを盛り直して頂いた上に、掃除もしてくれたのである。人の情けが目に染みる…。っと一部始終をオユタとカンちゃんは、「じゃばらドリンク」なるものを飲みながら見ていた。口当たりはあまりよろしくなかったみたいである。
 お次はだいぶ南下した所にある橋杭岩だ。まるでサメの歯のように岩が島に向かって点在している。干潮だったので、岩に沿ってけっこう歩けた。
 今日も宿泊地まで大した距離じゃなかったので、午後早くに潮岬に到着してしまった。荷物を潮岬ユースホステルに預け、岬を散策した。ここは本州最南端の岬なのだ。しかしとりたてて見所があるわけでもなく、早々と売店でビールとおつまみを買い、乾杯と相成った。
宿データ 宿名 潮岬ユースホステル
場所 和歌山県西牟婁郡串本町潮岬2843-1
感想 本州最南端のユースホステル。施設は古い。この日の宿泊者はえらく多く、まるで山小屋状態である。1人1畳なかったのではなかろうか。果たして定員というものはあるのか?更に、夕食の悲惨なこと…。これ以上は語るまい。
5月2日(月) 天気:晴れ
 朝、ニュースでF1パイロットのアイルトン・セナが、事故死したと報道していた。セナのファンであるマコちゃんは、かなりショックを受けていた。
 潮岬灯台を見た後、出発。今日もひたすら海沿いを走る(R42)。宿泊地は有田市だ。  まず、串本海中公園に寄った。ここは海にせり出した施設から、直接海中の魚達を観察できるのがウリだ。しかし沖縄のような透明度の高さを期待してはいけない。ウメとマコちゃんは、「ふ〜む。まあここら辺の海ではこんなもんでしょう。」と、他の2人に沖縄の海で潜ったことをさりげなく(?)自慢した。それでも、水族館としては充分に楽しめた。
 1時間ほど進むと白浜の温泉街が見えてきた。巨大なホテルが立ち並ぶ様は、伊豆の熱海そっくりである。潮岬を境に、西と東では趣がガラリと変わる。観光地化が進み、道路の整備された西側と、対照的な東側。どちらが好きかは、自分の目で確かめてもらいたい。白浜では、千畳敷と白良浜、円月島を見た。
 今回のツーリングは、1日の走行距離を短くしてあるので、毎日ゆとりを持って行動できる。今日も余裕で有田市に到着した。
宿データ 宿名 有田オレンジユースホステル
場所 和歌山県有田郡湯浅町栖原809
感想 民家を改造したタイプのユースホステル。すごくアットホームである。4人が泊まった部屋は、もろ座敷。オレンジが食べ放題!ここの娘さんが、機関銃のようによくしゃべるので、1人で泊まっても淋しくないでしょう。
5月3日(火) 天気:晴れ
 まずは貴志川町でいちご狩りを楽しんだ。今日もいい天気で、ビニールハウスの中はやたらと暑かった。オユタはいちごワインを購入し、今晩の楽しみとした。
 次に寄るのは高野山金剛峰峯寺だ。ここから高野山までには、いくつかのルートが考えられる。どの道を走ろうか?どうせなら、各自好きな道を選んで、現地集合しようということになり、ウメとオユタはワインディングのR370ルート。カンちゃんは県道3号線。マコちゃんは紀ノ川沿いからR480に入るコースを選んだ。しかしオユタは調子に乗ってワインディングを攻めた結果、悲劇に見舞われるのであった。(エピソード「峠に散ったいちごワイン」を参照のこと。)
 まず到着したのがウメ、オユタ組。少ししてからマコちゃんが来た。あとはカンちゃんだが、しばらく待ってもやって来ない。今日の宿泊地は東大寺のそばにある奈良ユースホステルだ。既にお昼時であり、先のことを考えて、金剛峰寺を見学することにした。マコちゃんのバイクの上に、「先に金剛峰寺を見に行ってるね!」というカンちゃん宛てのメッセージを残して。
 寺は歴史と威厳を感じさせるものであった。根本大塔はでかかった!また、奥の院は奇抜なデザインの墓石で有名で、生前から自らの墓をデザインして建てる人もいて、見ていておもしろい。
 バイクに戻るとカンちゃんが待っていた。「これからお寺を見たい。」と言う。これから先の時間配分を考えて、ウメは「なぜ到着してすぐに寺を見に行かないのか。これから見にいかれたのでは、奈良に着くのが夜になってしまい、夕食に間に合わないぞ!」とあからさまに反対した。両者間でちょっとした口論になり、険悪な空気が漂う。結局カンちゃんが折れた。考えてみれば、スケジュールはウメの頭の中でできていても、明確にメンバーに伝えてあったわけではなかった。また、高野山までの到着時間のズレに対する予測も甘かった。ウメはその点を反省し、カンちゃんに謝った。
 奈良市に向かって出発し、R370を北上する。ところがこの国道、ワインディングなのはいいのだが、センターラインもなく、クルマの擦れ違いも大変なほど狭い。しばらく進むと、ずら〜〜〜っとクルマが渋滞で停まっていた。先も見えない。どうやら待避所に川で釣りやキャンプをする人のクルマが駐車してしまうので、いよいよ擦れ違いが出来なくなってしまったようだ。マナーの悪い輩が多くて困る。道が狭いのですり抜けもできない。しばらく待ってみたが、動く気配すらない。意を決して、右側を進んだ。クルマの列は延々と続いていた。先頭では擦れ違いの目処も立たず、途方にくれているといった感じであった。それを横目に4人は悠々とクリアした。あのまま渋滞にハマッていたらと思うと恐ろしくなった。
 宿まであと1時間くらいという所で給油中、マコちゃんがZZ-Rのリヤタイヤのパンクを発見!ガソリンスタンドの端をお借りして、ウメの修理セットでチャレンジしてみたが、このタイヤ、硬くて穴を塞ぐゴムが入らない。仕方なく、スタンドで修理してもらったが、その間に辺りは薄暗くなってきた。
 渋滞とパンクというアクシデントで、すっかり時間を食ってしまい、宿に着いたのは19時過ぎであった。ツーリングは何があるか分からない。ゆとりある計画を心掛けなくては…って昨日までの3日間は超ゆとり計画だったのに!
宿データ 宿名 奈良ユースホステル
場所 奈良県奈良市法蓮町1716
感想 東大寺までなんとか歩いていける距離にある。施設は充実しており、奈良観光の基地として利用できる。
5月4日(水) 天気:晴れ
 今日も奈良ユースホステルに連泊だ。軽装でバイクにまたがり、明日香村に向けて出発した。一連の“謎”シリーズを見学するのである。
 まずは「高松塚古墳」。まあ、これはとりたてて謎でもないか。
 次は謎の「亀石」。謎の塊だ。亀とも人の顔とも取れる、加工された岩なのだが、いつ何の目的で作られたのかは明らかにされていない。
 橘寺の謎の「二面石」。人の顔が背中合わせに彫られた岩で、これは人の善悪二相を表したものといわれている。
 謎の「石舞台」。これは古墳の盛り土の上部がなくなり、石室がむき出しになっていることからこの名が付いた。「日本書紀」に出てくる蘇我馬子の桃原墓ではないかとする説が有力である。
 そして謎の「酒船石」。岩に彫り込まれた幾何学模様的な溝は、庭園水路の分岐点だとか、何かの設計図、酒をしぼる槽とも言われている。
 飛鳥寺にも行った。ここはお寺の歴史についての説明を受けられる上に、堂内の撮影も自由。入場料も安くて、好感の持てるお寺である。日本最古の仏像である「釈迦如来像」が収められている。すぐ近くには、蘇我入鹿の首塚もある。
 さあ、いよいよ“謎”シリーズ最後は、謎の「モノリス」だ。…ってのはウソ。これらの遺跡、建築物があるエリアは道幅が狭く、バイクですら置き場所に苦労した。クルマで廻るのはやめておいたほうがいい。レンタサイクルがお勧めである。
 時間がまだあったので、法隆寺にも行った。世界文化遺産に選ばれた途端に、500円だった入場料が1,000円に値上げされた。けしからん!それにしても観光客の多いこと。飛鳥寺とは対照的ですな。
 更に奈良公園に寄ってから宿に帰った。
宿データ 宿名 奈良ユースホステル
場所 奈良県奈良市法蓮町1716
感想 5月3日のデータを参照のこと。
5月5日(木) 天気:晴れ
 オユタ、カンちゃん、マコちゃんの3人は帰途に着くが、ウメはこのまま奈良ユースホステルにもう1泊して、今日1日をのんびり過ごすそうだ。
 ウメに見送られてを出発する3人。とりあえず先頭はマコちゃんである。
 これまでのツーリングでは京都を経由することが多く、名神高速を多用してきたが、今回は奈良から帰るので名阪国道を選択した。規格としてはほとんど高速道路なのに、扱いは国道。法定速度も一般道(60km/h)なのである。無警戒車は調子に乗って飛ばしているが、オービスが近づくとブレーキを踏んで急速にスピードダウンするものだから、にわかに渋滞する。
 奈良からただひたすら帰ってしまうのももったいないということで、三重県上野市に立ち寄り、伊賀忍者屋敷と上野城を見学した。忍者屋敷はなるほどよくできているし、「くノ一」姿のおねぇさんが華麗な技を披露してくれる。
 一休みした後、名古屋を目指す。東名阪自動車道を快調に走っていると、先頭のマコちゃん、調子に乗って思わず降りる予定の勝川ICを通過してしまった。後続のみんなに詫びた後、名古屋ICまで行って東名高速を少し北上し、中央自動車道に入った。
 中央自動車道恵那峡SAで給油&休憩。この先は木曽高速(R19のことね)を選択。流れの良い国道とはいえ、やはり一般道。高速をスイスイ、というわけにはいかなかった。寝覚ノ床と塩尻市のコンビニで休憩。このコンビニを出る頃、辺りは薄暗くなってきた。自宅に向かって徐々に解散。全員無事帰宅。
 ちなみにウメは、東大寺周辺をのんびりと歩いて散策し、若草山で昼寝したりして1日を過ごした。(若草山は入場料を取る。鹿が入れないように柵で囲まれているのに、なぜか鹿の糞だらけだったので、シートを敷いた。) そして翌日、やはり伊賀忍者屋敷と上野城を見学してから帰ったのである。

レポート by ウメ


back.gif main.gif